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白塗りのおじさん 「恐怖の足跡」 

恐怖の足跡 番組詳細はこちら

いや、白塗りのおじさんです。正確には“The Man”、つまり“男”という役名なんですが、それじゃちょっと味気ないですよね。川に転落した車から奇跡的に生還した女性メアリー(キャンディス・ヒリゴス)の周囲に姿を現す亡霊のような存在。もちろん、彼女にしか見えません。

 

基本的に普通のおじさんが顔を白く塗って、目の周りを黒くしただけのシンプルなメイクなんですが、これがとんでもなく不気味な顔に仕上がってるんですよ。「恐怖の足跡」と言えば、この白塗りのおじさん。全編に渡って顔を出しているような印象がありますが、改めて見直すと5~6箇所しか出てこないんですね。それも、トータルで5分程度。しかし、一度見たら忘れられないほど強烈なインパクトを残しています。

で、このおじさん、何者なのかと思って調べたら、何と監督のハーク・ハーヴェイ本人なんですね。彼はもともと教育映画や産業映画、ドキュメンタリー映画のエキスパートで、カンザスの映画学会から生涯功労賞を授与されている、いわばその道の第一人者だった人。たまたま近くを通った遊園地の廃墟の光景に着想を得て作られたのが、この「恐怖の足跡」だったわけです。彼の撮った長編劇映画は、後にも先にもこれ一本だけ。しかし、この「恐怖の足跡」がジョージ・A・ロメロに多大な影響を与えて「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」が生まれ、ホラー映画の歴史が変ってしまったわけなんですね。

何百という教育映画、産業映画を撮り続けながら、たった一本のホラー映画で後世に名を残す事になったのは皮肉というべきか、幸福というべきか。少なくとも、生前のハーヴェイ監督自身は、あまり快くは思ってなかったようです。「35年間もの長きに渡って教育映画や産業映画を作り続けてきたのに、5週間くらいで作られた一本の映画だけで名を知られるというのは、僕には正しい事とは思えない。産業分野でこそ、僕はもっと誇らしい仕事をしているんだ」と、語っています。

まあ、作り手と受け手の捉え方が違ってしまうのは仕方ないこと。ホラー・ファンの僕らにしてみれば、お金をかけた特殊効果や血みどろのゴア・メイクが一切なくても、十分に怖い映画が撮れるということを証明してくれたハーヴェイ監督に惜しみない賛辞を贈りたいところ。これだけの傑作をものにしただけでも、十分誇りに思っていいと思います。

って、ちょっと本題から外れてしまいましたが、監督自らが死と恐怖の象徴を演じる傑作ホラー「恐怖の足跡」。まだ見てない人は絶対に要チェックです!


日時: 2007年 07月 06日, 05:00 PM  |  コメント (0)

           

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